留学レポート ドイツ学校生活


私はドイツのDuisburgという地域に暮らしています。家族は父、母、1歳の弟です。学校へはバスと、広島でいう広電(広島電鉄。路面電車)を使って通学しています。私の家はライン川の近くにあり、たくさんの自然に囲まれています。両親は二人とも仕事をしています。学校に部活動がないので放課後は地域の卓球のチームで練習をしています。

平日は月曜日から金曜日まで学校ですが、日本とは違って時間割がバラバラです。というのは日本の学校だと毎日6時間授業ですが、ドイツでは月曜日は9時間、火曜日は5時間です。そして時々自由時間があって、一時間学校外に出てご飯を食べたり、友達を食堂で話したりすることができます。授業の長さも違って、日本では55分の授業だったのですが、ドイツでは基本一つの授業は45分で、2時間連続で同じ科目だと90分授業になります。日本の学校では毎朝HRがあってそこから授業という流れなのですが、ドイツではそのまま授業に行き、HRなど一切ありません。

個人的に英語の授業は充実していると思います。なぜならドイツでは先生も英語で授業をするからです。そしてどの授業も生徒が必ず発言し、先生と生徒が一緒に授業を作っているという雰囲気があります。日本だと先生が言ったことや黒板に書いてあることをノートに書くのが普通になっていますが、ドイツでは発言のほうが重要視されていると思います。授業中とテスト中は飲み物を飲んでも良いという制度があります。友達になぜいいのと聞いたら授業に集中するためと言っていました。
そして一番興味深いのが、毎朝学校のスクリーンに今日の授業についての情報が記されます。というのは時々先生が体調を崩されて、学校に来られないときは授業がなくなります。ですから生徒たちはそれを見て今日はどの授業があるのか確認しなければなりません。私は一時間しかないという日がありました。

基本的に平日は、起床→朝食→登校→クラブ→帰宅→夕食→就寝というリズムで日本とあまり変わりはありませんが、やはり学校の制度の違いから早く家に帰れることがあります。そういう時は昼食を母と弟と一緒に食べます。ドイツの食事は朝と夜はパンを食べ、昼は温かいものを食べるのが普通と母が言っていたのですが、母が夜にパンを食べるのが嫌いなの、で夜も暖かいものを食べています。食事は家族全員でというのが基本ですが、朝食は母が早く通勤するので父と弟と、夕食は自分が毎日放課後卓球のトレーニングに行っているので遅くなると一人で食べます。ですが基本的にリビングに家族がいるので、自分もリビングで食べます。
休日は家族で美術館やほかの町に行きます。休日も家族でという雰囲気があります。弟が赤ちゃんなので長旅はできませんが大変充実しています。

私は自己紹介をするときに「日本からきました」といいます。すると必ず「日本のどこから来たの?」と聞かれます。そして広島から来ましたと答えます。ある友達に言われました「ごめんね」と。私はもちろん「どうして謝るの?」と聞きました。すると原爆があったから、と言われました。
私は日本に来る前は外国の人たちはこのことを全く知らないものだと思っていました。ですがよく考えてみると、留学前に資料館を見学したときに、原子爆弾の開発にあたってウランの核分裂を発見したのはドイツ人の科学者だったという記載を見たのを思い出しました。インターネットで調べてみると、マンハッタン計画という言葉が出てきて、聞いたことはあったけど詳細は知らなかったので調べてみました。すると「1939年秋に第二次世界大戦が始まると、ドイツで原爆研究が開始されているという情報がもたらされ、ドイツが先に原爆を手にすれば世界がファシズムに制されるとの危機感が高まった」と書かれていました(一般財団法人高度情報科学技術研究機構より)。なので、アメリカが亡命ユダヤ人を中心として開発を行ったのがマンハッタン計画、というのがわかりました。私の中では原爆といえばアメリカというイメージが強かったのですがこれを機に他の国との関係を調べてみるとより理解が深まるのではないかと思いました。
この機会に、アメリカに留学している日本人の友達に原爆について何を話したか尋ねてみました。ある友達は「どうして日本人はアメリカ人を嫌いにならないの、原爆でたくさんの人が亡くなったのに」と言われたそうです。友達は「真珠湾攻撃でアメリカ人全員が日本人を恨んでいないのと同じだよ」と言ったそうです。 ほかの友達は「アメリカは原爆を落とす以外にほかの方法があったはず。なぜなら日本はもう十分に戦う余地がなかったから」と言ったそうです。ですがそのほかの方法については言及しなかったそうです。
留学する前は、ほとんどのアメリカの人が「原爆は戦争を終わらせるために落とされた」と思っていると考えていました。もちろんそういう教育は受けているそうですが、全員がそう思っているわけではない、ということを実感しました。ドイツの友達とこのことについて話していると「何人生き残ったの」と聞かれました。自分の知識不足が原因で答えることができませんでした。調べてみると当時広島市には34万人いて爆心地の周囲1.2㎞では8月6日中に半分は亡くなったそうです。
友達と話すことで自分の知らないことがたくさんあるということに気付けます。この留学を通して海外の人の意見をもっと聞いて学習していこうと思います。

この留学では心の面での成長もありました。第一に思ったのは時間の使い方についてです。日本とは違って学校にいる時間が少ない分、自由時間が多くなります。その時間を無駄に過ごすとこの留学の意味がなくなってしまいます。自分は最初の2か月は少し怠けていました。このまま過ごしていると、ここに来ている意味はないと思い、自分の目的を再確認し、休む時は休み、勉強するときは勉強する、時間を大切に過ごしていこうを心に決めました。これは日本に帰っても言えることだと思います。残りの期間をどうすごすかは自分次第なのでこれを持続します。
その他には、日本でも思っていたのですが偏見と自己アピールについてです。偏見は自分にとって損だと思います。最初、喋りかけづらいと思っていた人も、話しかけてみると本当に気が合って今では仲のいい友達になりました。自分の趣味や考えを自分から言わなければ、相手とのコミュニケーションは続きません。意識して言わなくても自然に、私はこう思います、というように話しかけるとそれについて応えてくれ、そこから会話が続きます。相互理解も深まります。初対面の人と話す際も自分の趣味を話すと共通の趣味が見つかったりして会話がはずみます。実際にそういう体験をしたので実感しています。
あとなんといっても家族に感謝しています。ホストファミリーもそうですが、日本の家族もです。ホストブラザーが赤ちゃんなのでいつも世話をしているのですが、こんなに大変なのだと実感しました。ここまで自分を育ててくれた家族、そして新しい家族であるホストファミリーに感謝しつつ、これからの留学生活を過ごしていきます。

ドイツより
AFS58期生/広島市高校生交換留学生奨学生 川本歩