留学レポート フランスで自信を持てる自分に


 フランス生活も半分以上過ぎ、半年を迎えようとしています。フランスでの生活には慣れを感じています。僕はフランスのNord-Pas-de-Calais地域のPas-de-Calais県のMericourtという町に住んでいます。簡単に言うと、フランス最北の地域、といえば場所は想像していだたけると思います。学校は隣町のLansという街にあり、ちょっと都会な街で、月曜日~土曜日までスクールバスで通学しています。

ホストファミリーは子供5人、さらにコロンビアからの留学生も僕と同時にステイしているので、僕も含めて計9人です。とはいえ、いつも家族は揃っているわけではありません、親が再婚した家庭なのです。その関係で、母方の姉弟は一週間ごとに父親と母親の家を往復します。さらに父方の三姉妹のうち二人は母親のいる南フランスに、長期休暇以外は滞在しています。となると、家族全員が揃うのは長期休暇の間の長くて一週間、短ければ3日なのです。この家族はその短い時間を大切にしています。家族が揃って食卓を囲む、それが普通ではないのです。その普通を大切にするということに、僕は胸を撃たれました。
さらに、ホストファミリーの子供の中で僕が一番年上です。日本では年下だったので、何も感じていませんでしたが、いざそんな立場になると、相応の行動と姿勢が必要で、視野も広がります。まさか家族のなかでいつもそんな気品を保つとは思いもよらず、ちょっと疲れるなと思ったり、でもこれが大人への階段の一段なのかもしれないと思うと、ちょっとかっこいいなと思ったりもしています。
でも、さすがに家に着いた時、寝室は13歳の弟と共同と聞いたときはおったまげました。まさか、ここまで日本の生活と差があるとは、と。しかしそれが今の普通なのです。そして、火曜日~水曜日は祖父母の家で寝泊りします。というのも両親共働きで水曜の午後は授業がないので、親が子供を祖父母に預けるということです。さらに従兄弟も祖父母の家に同時に来るので、かなり騒がしいです。ここでも僕は一番の年長者な訳で、ちょっと高い位置から物を申すことも時たまあります。

学校でも僕は年上なのです。というのも、Secondeという学年で、日本でいう高校一年生にあたる学年で勉強しています。初めは生徒の外見があまりにも大人びていたので、てっきり同じ歳なのかと思いきや、みなさん僕よりも2歳年下でした。2歳差というのは、普通に僕がフランスで生活していたらTeminale、つまり高校三年に当たる学年の生徒だからです。海外は学校が9月始まりで、6月が誕生月なのでそうなるわけです。
さらに、フランスの学校に初めて行った時、髪の色、肌の色、目の色があまりにも、多種多様で、みんな留学生なのかと誤解しました。しかし、皆フランス人です。フランスは人種のるつぼなのです。僕の中でフランス人=金髪、青い瞳、白人でしたから、驚きは隠しきれませんでした。友達との間で衝突は頻繁に起きます。簡単に言うと精神年齢の差が一番の理由です。しかし、真っ向から喧嘩ができる友達を持てて僕は幸せに思います。
僕が泣いてしまう時に、友達が「大丈夫だ。でも泣かないで。コーキが泣いていたら僕も悲しいから」と、声をかけてくれます。僕はこう思います。例え文化、国籍、言語がちがっても対人関係で優しさを感じられるのは人間性によるものなのだと。

日本に居た頃、多くの人から「フランス人は愛国心が強いからフランス語しか話さない」と言われましたが、これには、正解と誤りが混合しています。まず正解は、愛国心が強いということ。友達と食堂で昼食を摂っているとき。「コーキ太ったね?」「そんなこと…無いよ」「太るのは仕方がないよ、だってフランス料理は世界で一番おいしいから」。正直、愛国心が弱い僕は笑いそうでしたが、しかし彼らは至って真面目でした。さらに家族も含め僕が太ったという話題がでると、いつも回答は同じく愛国心溢れんばかりの同じ回答でした。
かと言って他の文化に興味がないわけではありません。フランスで日本は熱い!この言葉は過言ではありません。僕の学校には部活は基本的に存在しませんが、日本クラブは存在するほどです。今でも日本について聞かれないことはありません。
さらに先程述べた誤りとは、フランス人はフランス語しか話さない。ということ。正直、到着当初はフランス語を勉強してなかった僕にとって会話は不可能でした。しかし学校の友達や家族は英語で話してくれました。もちろん僕のフランス語力の向上のため、まずフランス語で話して、それから英語という形でしたが。

 先程も述べましたが異文化の中でも「人間性」、これだけは軸のぶれないものなのだと思います。この考えを僕に与えた一番の存在はホストマザーです。僕が学校の友達と喧嘩して泣いている時、彼女は赤の他人である僕に言いました。「コーキは強いんだよ。なんにも分からない状態でこの場所に来ただけでも、ものすごく強い。でもコーキは本当の自分から逃げている。フランス語の表現で“自分の影を好み日向から逃げる”というのがある。今のコーキはまさしくこれだ。自分は強い!そう信じなさい。あなたは強いのだから」。
僕は嬉しさのあまりさらに涙をながしました。自分に自信を持てる自分になる。これは僕の留学のテーマです。異文化の中でも、だからこそ、自分を磨いて、そして人に感謝をして残りの4ヶ月を過ごしたいと心から思います。

2012年2月 フランスより
AFS58期生/広島市高校生交換留学生奨学生 甲斐康輝

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